陶磁器のお手入れ

TREATMENT AND MAINTENANCE

陶磁器のお手入れ

陶器と磁器の違い

Difference

購入後すべきこと

After Purchase

使う前にすべきこと

Before Using

陶磁器の洗い方

How to Wash

陶器のにおい・染み

Odor & Stain

陶磁器のお手入れ

Maintenance

Photo of Soichiro Yoshioka

陶器と磁器の違い

Q:「陶器と磁器の違いは何ですか?」

A:陶器と磁器には性質上の違いがあり、取り扱いやお手入れの仕方も異なります。また、陶器の中でも表面仕上げの違いにより、異なる取り扱いが必要です。

陶器(土もの)は粘土で作られ、1000~1300℃と比較的低い温度で焼き上げます。吸水性があり、磁器に比べると少々もろいのが特徴です。叩くと濁った鈍い音がします。陶器は釉薬がかかっているものでも、表面に見えない無数の穴があり、汚れが染み込みやすく、放っておくとにおいやカビの原因になります。陶器は磁器に比べるとデリケートで汚れやすく、手がかかるということを頭に入れた上でご購入・ご使用ください。

磁器(石もの)は石を砕いて作られたやきもので、1250~1400℃の高温で焼かれたものです。表面は白く、ガラスのように硬くなめらかで、吸水性は無く透光性です。染み込みの心配も無く、電子レンジでも使えるものが多いです。叩くと、金属的な高い響きを持った精音を発します。

Image of pottery maintenance 陶磁器のお手入れ

購入後すべきこと

Q:「購入後何かしておくべきことはありますか?」

A:うつわを長くお使い頂くために、いくつかすべき点が御座います。まず高台(器の底の部分)をチェックします。ざらつきがあるようでしたら、目の細かいサンドペーパーで丁寧にこするか、他の食器の高台で軽くこすり合わせ滑らかにします。そのままにしておきますとテーブルを傷つけたり、重ねた時に他のうつわを傷つける原因となります。

その後陶器は一度煮沸します。そうすることで土の目が締まり丈夫になります。お鍋にうつわを入れ、うつわがかぶる位まで水を入れて30分程煮沸し、そのままの状態で自然に冷まします。この時、米のとき汁を使用すると土肌の目を埋めることになり、汚れが染み込みにくくなります。

磁器は吸水性が無く汚れは浸透しません。そのままお使いいただけます。

Image of cups without Kannyu and with Kannyu

左: 未使用の状態 右:使用開始後3カ月(貫入が入った状態)

Image of Bowl with Kannyu

使う前にすべきこと

Q:「実際に使う前に何か注意すべきことはありますか?」

A:陶器は料理を盛り付ける前に30秒程度水に浸けます。陶器は土の粒子の間に隙間があり、粉引などの軟質の土ものや釉薬がかかっていない焼締のうつわなどは、その隙間に料理の油などが入り汚れとなるのを防ぐためです。磁器には隙間は無く釉薬でコーティングされているので、これらの必要はありません。その後かるく拭いてから盛り付けますが、粉引のうつわの場合グレーっぽい斑点が出たり、上薬(釉薬)のかかっている陶器の場合、種類により目立つ目立たないがありますが生地に貫入(細かいひびのような模様)が入ります。土に水分が浸透すると起こる現象で、上薬の特徴ですので全く問題ありません。また、水を含むとうつわの表面がしっとりとした肌合いになり、料理の見栄えも良くなります。揚げ物は紙を一枚敷いての盛り付けをお勧めします。

[電子レンジの使用] 吸水性の高い陶器や貫入のあるうつわなどは、水分を吸収したままの状態でレンジにかけると、マイクロ波による急激な温度上昇により破損の原因になります。また上絵(特に金彩・銀彩)のあるうつわは、うつわ・レンジ共にトラブルの原因になります。磁器やその他のうつわはレンジで使用しても特に問題御座いません。

Image of Kiyomizu-ware_tea-pot

陶磁器の洗い方

Q:「陶磁器は普通の食器と同じように洗って大丈夫ですか?」

A:食べ終えたらなるべく早く洗うようにしていただくと、においや汚れが染み込むのを防ぐことができます。油汚れがひどい時は、軽く拭き取ってから洗います。色絵や金彩のうつわは、強くこすると絵がはがれることもありますので、柔らかいスポンジでやさしく洗います。焼締めや高台の部分など表面が荒いものはたわしで洗います。洗剤は普通の食器洗い用洗剤で構いません。陶器は磁器に比べてもろいため、浸けおき洗いは避けた方が無難です。他の食器とぶつかって欠けたり、ひびが入ったり、浸けておく間に他の食器から出た汚れを吸収してしまいます。最後に熱湯を通すと表面の汚れもしっかり落とし、また乾きも早くなります。

[食器洗い機の使用] 食器洗い機は水流が強いため無数の傷がつく場合があり、あまりお勧めできません。使用される場合は、なるべく他の食器と当たらないように並べ、十分に乾燥させてから収納してください。

Image of Arita-ware_cup

陶器のにおい・染み

Q:「陶器ににおいや染みがついてしまった場合はどうしたらいいですか?」

A:陶器に臭いにおい(土臭い・カビ臭いなど)がついてしまった場合、レモンを絞った水に入れ煮沸を2、3度繰り返してみてください。それでもにおいが取れない場合、重曹を水に溶かしたものに、半日から一日浸けておきます。その後完全に乾燥させた段階になってもまだにおいが取れない場合は、重曹水処理の工程を2、3度繰り返します。

陶器の表面や貫入に染みがついてしまった場合、なるべく気付いた段階で直ぐ漂白剤につけます。茶渋やカビなども同様です。注意していただきたい点としては、吸水性のある陶器の場合はうつわの素地まで漂白剤が入り込んでしまないように、しっかりとすすぎを行うようにしてください。

染みが表面から浸透して土にまで入り込んでしまった場合は、残念ながら取り除くのは非常に困難になってしまいます。ご留意ください。

Photo of Hayato Yoshioka

陶磁器のお手入れ

Q:「陶磁器のお手入れはどうしたらいいですか?」

A:陶器は使用後よく乾燥させてください。布巾などで水気をとった後も直ぐには片付けず、風干しするなど完全に乾燥させてから収納するようにしてください。表面上は乾いているようでも、中が湿っている場合など、乾きが不十分なまま収納してしまうとカビが生えることも御座います。土鍋などを長期間しまっておく際は、風通しのいい場所で天日干ししてから収納するようにしてください。

また、陶器や磁器は傷つくことがありますので、重ねて収納しないほうが安全です。もし重ねて収納したい場合は、ペーパーナフキンや和紙を挿んでおくようにします。保管場所はなるべく風通しがいい場所に保管してください。